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「あ、あの…西園寺様…これは…いったい…」
マツバはもじもじと体をくねらせながら西園寺に訴えた。
「バニーの衣装だよ。こういうのは着たことがないのかい?」
西園寺に今日はこの衣装を着てほしいと渡されたのは襟付きのビキニのような黒い衣装だった。
とにかく隠れる面積が少なく、まだ裸の方がマシに思える衣装だ。
しかも頭にはダラリと垂れた長い耳まである。
さらに衣装は驚くほどマツバの体にピッタリとフィットしているため、嫌でも体の凹凸が浮いてしまう。
それが余計にマツバの羞恥を煽っていた。
「は、はい…」
マツバは妙に開いた胸元を隠しながら頷いた。
マツバの指名客の中にいる年配の男性客はマツバに変わった下着をはかせたりもする嗜好があるが、ここまで本格的なコスプレは初めてだ。
その頷きを見て、西園寺の口元が優雅に持ち上がる。
「そうか、初めてか」
そう呟くと、うさぎになったマツバの姿をじっと見つめてきた。
ただでさえ恥ずかしいのに、こんな衣装姿をまじまじ見られるととてつもなく恥ずかしくなってくる。
穴があったら隠れたい…
と、その時自分が足袋のままな事に気づいた。
西園寺が用意した衣装の中にはこれまた薄い布地の靴下があったのを思い出したのだ。
もしかしたら西園寺はそれを指摘するために見ているのかもしれない。
マツバは慌てて靴下を探そうと西園寺に背中を向けた。
ところが、腕を掴まれ引き留められてしまう。
「こら、どこへ行く気だい?かわいいうさぎちゃん」
甘い声に窘められて腰の奥がずくん、と疼く。
「すみません西園寺様。一つ衣装を身につけるのを忘れていて…」
「衣装?」
「あの…靴下を…」
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