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四番テーブルに待たせている客のことが気になるが、恐らくアオキが抵抗すればこの男たちはまた騒ぐだろう。
他の客にも迷惑がかかるし、それこそ店の質を落としかねない。
それに何より大切な友人であるマツバを泣かせたことが許せない。
アオキは仇を取るつもりでこの男たちの相手をすることにした。
「わかりました。それで、どんなオプションを選んでいただいたんでしょうか」
アオキは落ち着いた声で訊ねた。
ビクビクすれば彼らの思うつぼ。
なるべく手早く淡々と済ませて帰らせたい。
「オプション?」
スキンフェードの男が眉を吊り上げた。
「はい。当店ではドリンクの他に必ずオプションメニューを選んでいただくシステムとなっています。詳しくはこちらを…」
アオキはテーブルに常置してあるメニュー表に手を伸ばした。
だがその前に金髪の男が取り上げ、床にポンと放り投げる。
「…!?」
「だから、そのオプションってのが面倒なわけ。俺らコーヒー頼んでんだから、あんたらからサービスを受けるのは当たり前だっつってんの」
男は踵を潰して履いている汚らしい靴をテーブルの上にドンと乗せた。
テーブルの上にあるマツバが運んできたであろうコーヒーがガチャンと音を立てて中身をこぼす。
男らアオキを鋭い眼差しで威嚇してきた。
「まだわかんねーの?普通茶店でコーヒー頼んだらよぉ、サービスで豆菓子とか出るだろ。つまりあんたらはそれ。高級茶店だかなんだか知らんけど、豆菓子がせせこましく金取んなっつーはなし」
あまりにも身勝手な言い分にアオキは絶句した。
つまりこの男たちはマツバやアオキにオプションメニューをタダでやれと言っているのだ。
こんな事を言われたらマツバも困るはずだ。
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