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怒りが込み上げてきたアオキはじっとしていられず男の元に向かおうとした。
ところが、アオキが飛び出すより先に男が勢いよく吹き飛んだ。
派手な音を立てて崩れる男を紅鳶が凄まじい表情で睨みつけている。
アオキは唖然としてしてしまった。
たった一人でガラの悪い三人の男を瞬く間に倒した紅鳶。
彼の精神的な強さは知っていたが、肉体的な強さも持ち合わせているなんて尋常ではない。
その紅鳶が一瞬アオキの方へ視線を流してきた。
鋭い眼差しがアオキに突き刺さる。
アオキは一瞬で凍りついた。
その視線には怒りと嫌悪がはっきり表れていたからだ。
嫌われた…
アオキの頭にその文字がくっきりと浮かび上がる。
その時だった。
バタバタと足音がして他のスタッフたちが駆け込んできた。
スタッフはぐちゃぐちゃになった光景と得体の知れないオーラを放つ紅鳶を見て全員サッと顔色を変える。
「こいつらを早く外に」
紅鳶が口を開くと、ハッとして、床に倒れる男たちを取り押さえた。
「おーおー、またずいぶん派手にやってくれたな」
のんびりとした口調とともにオーナーが姿を見せた。
白髪まじりの短髪に高級なスーツを身に纏った男は、咥えていた葉巻きから気怠げに煙を吐き出す。
「あ?じじい、なんだてめぇ…!」
まだ懲りていないのか金髪の男がオーナーに向かっていきる。
しかしすぐにオーナー必殺技の一瞥を受けて押し黙った。
「こいつらが持ってた会員カードは偽もんだ」
その言葉に男たちの目が泳いだ。
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