喫茶淫花廓

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「どんな手口を使ったかはしらねぇがここの情報を操作して偽もんを作るたあ、舐めた真似してくれるじゃねぇか。てめぇらの組の組長は一体どういう教育をしてるのかさっき問い合わせの電話をしてやったところだ」 男たちの顔色がみるみる青ざめていく。 どうやら男たちの所属する組の組長とオーナーは顔見知りらしい。 恐らく男たちはそのことを知らずに偽造カードを作り、この喫茶淫花廓に潜り込んだのだ。 「おおかたこれが成功したら裏で捌いて儲けようとしてたんだろ。だがまだまだ甘ぇなあ。うちに手ぇ出すとどうなるか、身を以て思い知れよ餓鬼ども」 さっきまでいきり倒していた男たちはすっかり尻尾を巻き、項垂れてしまった。 「立て」 スタッフたちに連れられて男たちが出口へと向かう。 その時だった。 「おっと、失礼」 一人の男がパンチパーマの男にぶつかった。 パンチパーマの男の手からスマホがポロリと落ちる。 ぶつかった男がそれを拾い上げ、パンチパーマの男に返そうとした。 ところが、男は何を思ったのか持ち主には返さずに、持っていたグラスの中にポトリと沈めてしまった。 「おいてめぇ…何しやがる!!」 「君は初めてだろうから教えてあげるけど、店内での勝手な撮影は禁止だよ。それと、俺の大事な子を傷つけて泣かせた報いは受けてもらいたくてね。本当は君の顔の形がわからなくなるまで殴ってやりたい気持ちだが、君のような下劣な奴を殴ると…俺の手が汚れる」 男はそう言うと、ネクタイをキュッと締めなおした。 「西園寺様…」 となりのマツバが呟き、目をキラキラと輝かせる。 あまりにもいろんな事が起こってすっかり忘れていたが、あのスマホで撮影されていたのだった。 過激になる前に助けが入ったため、恐らく動画の価値としては低いだろうが、何に使われるかわからない。 西園寺の計らいはファインプレーだ。 「さて、営業妨害で無駄な時間を過ごしちまったが全員さっさと仕事に戻れよ。紅鳶とアオキは休憩に入れ。そのつら(・・)なり(・・)が戻るまでだ」 オーナーの言葉に皆一斉に散らばっていく。 そこで改めて自分が酷い姿であることに気づいた。 急に恥ずかしくなり、アオキは慌てて乱れた服を整える。 ついて行こうかと言ってくれたマツバの申し出を断って、アオキは紅鳶とともに休憩室へと向かったのだった。
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