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「おい、言われてるぞ」
漆黒は紅鳶に言うが、言われている本人は「狼がいたら猿と雉はいらないだろ」なんてわけのわからないツッコミを入れている。
「まぁ、とりあえず毛深さで漆黒さんは狼、紅鳶さんは賢さで雉にするとして、問題は猿だな…」
桃太郎お供にするなら誰か問題を真剣に考える青藍に漆黒はすっかり呆れ果てた。
のんきにあくびをしながら時々茶々を入れている紅鳶にもだ。
この男たち夜の顔と昼の顔が違いすぎる。
きっと恐らくだが、愛しい者の前ではまた変わるのだろう。
するとその時だった。
ジャリ、と砂を踏む音がして誰かが中庭に入ってきた。
「わっ!えっ、えっ、神トリオじゃないっすか!!やべぇ!3人揃ってるとかレアすぎ!当たりじゃないっすか」
チャラい言葉使いのやたらデカい男が目を輝かせながら近づいてくる。
「また変なのが来た…」
漆黒はやれやれとため息をついた。
「あいつ最近入った新人で舛花っていうんですけど、ちょっと躾がなってないんで今教育中っす」
青藍の言葉に漆黒はなるほどと思った。
見た目はいいが、話し方も態度も全くなってない。
青藍もどことなく若いノリがあるが、やはりちゃんと品があり大事な場面ではしっかり落ち着いていてさすが二番手といった感じだ。
だが、この男舛花にはそれがない。
顔とノリだけでやってきたホスト上がりという感じだ。
「皆さん揃って何の話っすか!?もしかして口説き方の情報交換すか?いや、俺こう見えてめっちゃ口説き上手なんすよ」
誰もそんなことを一言も言ってないのに、舛花はルンルンで近づいてきた。
すると、突然青藍が「あ」と声をあげる。
「舛花…お前ぴったりだ」
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