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すごい映画観ちまった
すごい映画を観てしまった。
新作ではない。『嫌われ松子の一生』。
御覧になった方も多いのではないだろうか。
この映画、実はその昔、映画館で観た。大阪の映画館で、叔母と観た。
映画館の出口で「なんて映画だ!」と叔母が叫んだのを(ウソだ、叫んではいないが)よく覚えている。
そのときは私も若かったし、映画の内容について、どこか他人事だった。
ただただ、美しすぎる中谷美紀さんと、映画の鮮やかな色使いに感動した。
緑と赤、青と赤の使い方が絶妙で、アメリを思わせるような綺麗な映像だった。
ひどい人生なのに、なんと楽しく、美しく演出するのだろうと思った。
今回、二度目に観たら、松子の人生が我がことのように感じられてしまった。
もちろん私は風俗嬢になったこともなく、ひとを殺したことも、刑務所に入ったこともない平々凡々な人生なのだが、年を取ってくると、自分はいつどのように死ぬのか、そのとき周りに誰がいるのか、など気になってくる。
昔の知り合いで、「俺、二百歳まで生きるから」と言ったひとがいたが、その方の生命力が強いからそういうことを言うのか、死が怖いからそういうことを言うのか、わからなかった。
わからなかったけど、少し想像力が足りないのではないかと思った。
愛するひとや健康を失って長いこと生きるのは、楽なことではないだろう。
それでも松子は、最期に希望を取り戻す。寂しすぎる松子の最後の希望。
駆け抜けるようなスピード感と、崖っぷちぎりぎりのコメディ、丁寧にこさえてる感じの美しい映像と歌が魅力だ。
豪華俳優陣の若かりし頃がたくさん観られるのもいい。
強烈なインパクトのある映画だった。刺激が強めなので、嫌いなひとは観ないでいいかも。
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