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「風斗……もう少し、手……つないでてほしいの」
「ああ。……じゃあ、もっとこっち来い」
「うん」
手を繋いだまま強く抱きしめ合うと、今度はそれほど激しくない――可愛らしいキスを繰り返す。唇同士が触れるだけのキス。ちゅ、と音がするだけのキス。そこからふわりと甘い熱が生まれるだけのキス。
「風斗……」
「もう一人で悩むなよ。不安なときは俺を頼れ。俺はいつでも、こうして咲月を抱きしめるから」
風斗の優しい言葉と慰め方に照れてしまう。なんだかとっても愛されている、と感じられる。
本当は今までと変わっていないのかもしれない。だが幼なじみという関係に甘えていたのか、逆に幼なじみという関係に照れて本音で話せなかったのか、風斗からブルームをオープンした経緯を聞くまで彼の想いを正確に認識していなかったように思う。
先ほどの話をぼんやりと思い出して反省する咲月だったが、そうこうしているうちにだんだんと眠くなってきた。仕事で疲れているのもあるが、今日の風斗はいつもより遠慮がなくて――ちょっぴり激しかった。
「風斗……」
「咲月、眠いんだろ? 仕事の後だったもんな。後でパジャマ着せといてやるから、もう寝ていいぞ」
「……うん」
風斗に頭を撫でられているうちに、深い眠気に襲われる。結局恋人の優しさと巧妙な誘導に負けてすっと意識を手放してしまった咲月だが、今夜や久しぶりに安心して眠れるような気がしていた。
あっという間に眠った咲月を撫でるのは丁寧でいて優しい指遣い。その温度に紛れて、風斗の唇が額に触れる。
「ようやく手に入れたんだ。それから二年も、大人しくしてた。けど咲月に俺を受け入れる準備が出来たなら――もう遠慮はしない」
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