犯罪抑止装置

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 長田博士はいくつも研究を重ね、遂に『悪ゲージレンズ』というものを製作した。それはサングラスのようなもので。レンズ越しに人間を見ると、その者の凶悪性をはかることができ、一定以上だと犯罪者となりうる可能性が高いというものだ。  『悪ゲージレンズ』を試しで使った丸区警察では、痴漢や盗撮の常習犯を犯行前に特定でき、実行したと同時に逮捕できた。泥棒や強盗もだ。それをきっかけに、全国の警察で使われるようになり、人々はこの『悪ゲージレンズ』を『犯罪抑止装置』と呼んだ。  小学生の通学路にもなっている住宅街の合間の細い歩道に、黒い服を着た怪しい男が立っていると、三角警察に通報があった。『悪ゲージレンズ』を使って男を見た警察官は、彼は凶悪犯だと叫び、彼を逮捕した。  三日後。細い歩道で小学生児童数名が切りつけられる事件が起こった。  犯人は『悪ゲージレンズ』をかけた男で、犯行動機について「凶悪な者達を制裁しただけだ」と話した。
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