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朝から険しい顔をしながら、絆火が不機嫌に今も学校に向かいながら歩いていると、後ろから聞き覚えのある声が微かに聞こえてくる。
「お~い! ホダカ~!!」
そう聞こえてきた次の瞬間、後ろにいる何者かは、いきなり絆火と思いっきり肩を組んできた。ニヤニヤしながらこちらを見てくる。
すると、絆火は一気に気が抜けたようにその男に語りかける。
「なんだ、お前かよ。」
棒読みで言うと、男はノリ良く笑いながら言ってきた。
「なんだとはなんだ~? 親友だろ~??」
「いや、ただの昔からの腐れ縁だろ。」
「なんだトォー!?」
続けて絆火は塩対応を繰り返すと、ついに男は怒ってから、絆火を怪力で持ち上げ、肩車で懲らしめようした。
「うわあああああ!やめろおおおお!」
「おらああああ!! 思い知れええぇ!!」
――この怪力男の名前は、松林魁斗。昔からの腐れ縁で、幼稚園からずっと一緒だ。なぜか絆火のことを親友呼ばわりしている。絆火自信は全くそんなこと思っていないのに……。
とにかく、めんどくさいお節介野郎なのだ。
***
あれから二人は学校に無事到着した。絆火の方は多分あんまり無事とは言えないが……。
なぜなら、本当にあのまま学校に行ったからだ。そう、肩車で持ち上げられながら。
そして、絆火は改め思っただろう。この男、松林魁斗の怪力の異常さを。どうやったら平均体重の高校生一人を背負いながら、走って学校に行けるのか? 魁斗のマジの本気を想像しただけ、まるで恐怖しか感じないだろう。これからの成長を考えると、本当に怖い。と、同じように絆火が思っていると、後ろの席にいる張本人の魁斗は朝やらかした事も、もう忘れかのように気安く喋りかけてくる。
「あ!そういえば今日転校生来るらしいぜ?」
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