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「そうか。」
もうあんな目に会いたくないという一心で、絆火はあんまり、魁斗に対して反応しないようにしていた。けど、次の言葉でその決意は一瞬にしてなくなった。
「なんだ興味あるのか?」
「ねぇよ!」
「コイツ本当にバカなのか??」と心の中で呟きながら、絆火が魁斗の言ってきた言葉を即否定すると、魁斗はなぜか諦めず、また同じことを聞いてきた。
「ちょっとはあるだろぉ?」
「だから、ねぇって!!」
もうそろそろぶん殴ろうかな? とか絆火が思っていたその時、いきなりあのバカが冷静な声で疑問を口にしてくる。
「てか、よく考えてみっとよぉ!」
「あ? どうした?」
やっとまともになったかと一瞬絆火は思うが、それはまた一瞬と次の魁斗の言葉で無くなった。
「転校生ってなんか漫画の第一話みたいで興奮すんなぁ!」
「………………」
白い目で見ると、魁斗はアホっぽく目の前で叫んできた。
「無視すんなってぇ!?」
と、魁斗が言った瞬間に、タイミング良く担任の先生が教室に入ってきた。さっきまで少し荒れていたクラスが秒で静かになる。みんなが静かになったことを先生が確認すると、続けて魁斗が先ほど言っていた転校生の紹介が真っ先に始まった。
「では、今日は転校生を紹介する。」
その一言にクラスはまた盛り上がった。その盛り上がりにもちろん魁斗も参戦している。絆火もみんなの異常なほどの盛り上がりに少し緊張してきた。
転校生なんて最初はどうでもいいと思っていたが、よく考えると、クラスで新しい仲間が増えるのは嬉しいことだし、もしかしたら自分と相性いい人とか来るかも? とかこの一瞬で色々と絆火が想像していると、ついにその転校生の姿が露になる時がきた。
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