【episode1】少年が眠ったら…

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【episode1】少年が眠ったら…

【西暦2031年 5月16日 午前12時14分】 日本で巨大地震が発生した――。 その被害は大きく、今までの地震より遥かに一線を越えていた。 マグニチュードは驚異の10.5を記録し、建物倒壊、巨大津波の後に、死亡者は約以上にも昇った。 この世界最大最悪の地震で、日本は完全に崩壊。 人々は混乱の渦に呑み込まれるしかなかった。が、このままずっと不憫な非日常が続くわけもなく、国はすぐに動き出し、徐々にだが、日本はどん底から這い上がっていった。 様々な問題を少しずつ解決していき、元の生活を取り戻そうと、必死に邁進したのだった…… *** 【西暦2041年 6月5日 朝8時10分】 「……はぁ~!」 重いため息を吐きながら、少年はダルそうに足を左右に動かした。今向かっているのは学校だ。 ――彼、夢道絆火(むどうほだか)は今年で十五歳の高校生。高校に入ってからまだ一ヶ月も経っていない。のだが、絆火はもう、ひどくうんざりしていた。 に………。 絆火が今も学校に向かって行き道を歩いていると、横にある道路の真ん中に、突然と複数人の男女が並び始めた。 そして、何秒か間を空けてから、腕を下から上に大きく振り上げ、奇妙なほどにある一言を一斉に叫び始める。 「「「「「日本反対!!」」」」」 まるで宗教のように叫び続けていると、それを見た通行人たちは一瞬唖然として止まるも、すぐに恐怖を感じながら素早くその場を過ぎ去っていく。 でも、絆火だけは違った。絆火だけは恐怖ではなく、怒りを感じながらそこを過ぎ去ってった。 その怒りは、この宗教のような奇妙な人たちではなく、このにだ。
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