雨の"君"しか愛せない

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「もう、わかんないしテキトーにやれば死ぬよね」 「お前大丈夫かよ…っ!」 その時、そいつの瞳が変わった。 「心配してくれるの?」 「当たり前だ…っ!」 お前がおかしいんだよ! 叫ぶたびに傷口がとてもジンジンする。 しかも今も血がダラダラと垂れている。 早く、雨よ、降ってくれ…! 「やったー!」 とても嬉しそうに踊りだした。 そういうのいいから救急車呼べよ! 「初めて心配された。やっぱり隼人好きー!」 「そういうの、いいから、救急車、呼んでくれよ…」 「えっ、なんで?」 「出血してるの見えない?」 「あっ、包帯巻くね!」 コイツ、アホなのか? いや、アホか。 「きつく巻くんだよね」 「い、いっ」 「痛いよね。ごめん!」 「ごめんじゃ、ないっ!」 もう、なんなんだ。 そんな時だった。 「あ、れ、?今日、雨降る予報なんて…。」 心の中でガッツポーズを決める。 神様仏様!ありがとうございます! 「しょうが、、ない、けど、譲らなきゃ」 瞼が閉じる。 大好きな"君"がくる。 「隼人さん…?」 おどおどしたようなこの感じ。 世界で一番好きな"君"の声。 「あっ、いまほどきますね!」 「ああ、頼む…」 「ほどきましたよ!あれ?隼人さん、隼人さん⁉︎」 意識を手放した。 もう、無理だ。
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