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その後、なんとか助かった俺は"君"といつもの食卓を囲む。
「隼人さん、びっくりしました…」
「ごめん。迷惑かけたよね。」
「そんなことないです!こっちの方がたくさんかけました。」
しゅんとなる"君"。
うん。大好きだな。
「あのさ、聞いてもいいかな」
「はい、なんでしょう?」
「"君"と結婚したいんだけど、君はどうすればいい?」
黙りだす"君"。
あれ?
なんかおかしなこと言ったか?
「あ、あの、隼人さんとけ、けけ結婚するのはか、かか構わないんですけど…」
「あっ」
ムードがないプロポーズをしてしまった。
やばい。男として失格なんだが…。
「私と結婚するってことはあの方も愛してくれるということでよろしいでしょうか?」
「君は愛せない」
「それでは無理です」
「なんで…」
「あの方の望みは私が叶えなければいけないから。誰かに愛されるという望みを隼人さんが叶えてくれるなら私は結婚します。」
「それは無理だ」
「ならば、私も無理です」
「なんで"君"が…」
「私とあの方は同じ体の持ち主。昔、あの方が私に二人の共通の願いは絶対に叶えようと言いました。私もあの方も誰かに愛されるという願いを叶えたいのです。」
「…」
あーあ、そっか。
そうだな。
「さっきも言ったけど、君は愛せない」
「そうですか…」
うっすらと涙が流れている"君"にどんな言葉をかければいいのかわからない。
そして、思ってしまった。
「ずっとずっと雨が降ればいいのにな…」
そうすれば"君"も俺も幸せでいられると思ったから。
俺は雨の"君"しか愛せない。
そんなやつでごめんね。
fin
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