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「そうよ!美亜ちゃんだって知ってるのよ?一年先輩だったし、同じ手芸部に入っていたんだから!小学校の!」
「しょ、しょうがっこおお?」
五十嵐先生が、がくりと肩を落とす。
小学校かよ、と龍彦くんが鼻で笑う。
「てっきり高校か大学かって思ったら……小学校かよ、騙された!」
頭を抱える五十嵐先生を見て、梨花ちゃんが「だっさ」と呟く。
「むやみに出禁なんかしたら、奥様に言いつけるとか怒鳴りだすから、場所がなくなるんじゃないかって……勘弁してくださいよ!あんたのせいでまた変な奴らに関わることになっちゃったじゃないか、内科医のくせに、空気読めって……」
「空気は吸うものですよ、読むのは文字です。あなたの好きな論文みたいにね、五十嵐先生。内職もほどほどにしないと、霧野先生から雷を落とされますよ?ともかく、出禁失敗だとしたら無理にでも見せつけるほかないかぁ。サヤカちゃんもぉ、部外者ってわけじゃないし、協力してくれない?」
「え、あ、あの、わ、私は……」
有無を言わせない気迫を、笑っていない眼差しを浮かべた笑顔とハキハキした口調で、吉備沢先生が提案する。
「あなたが呼吸障害や睡眠障害、また様々な不安障害が発するようになって、当院とは違う医療機関で処方された薬を飲むようになったんですよね?」
「は、はあ……」
「熱が出れば発熱外来を受診しますし、怪我をすれば整形外科に通うことも、胃の調子が優れないなら内科で相談したりしますよね?じゃあ、心に置き換えても同じことですよね?原因も探るし……。もう、言っちゃっていいかな……?」
「言うって?」
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