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「専門学校に行くって言うの。大学だけは出ておきなさいって言うんだけど。今はそういう大学だってあるじゃない?」  彩子の心配はもっともな事だが、若い夢乃の、先を急ぎたい気持ちもまた、謙二には分かるものがあった。自分は若い頃の夢を諦め、生活を優先して広告の仕事に就いた。元々は映像関係の道に進みたかったのだ。  結果的にその会社で彩子に出逢い、結婚して夢乃が生まれた。その道が正しいかどうかはともかく、そういう道を辿って、今の謙二はあるのだった。 「田宮くんはどう言ってるの」  謙二は訊いた。  田宮は、謙二と彩子の共通の友人だった。二人の関係に亀裂が入った時に彩子に親身に寄り添い、距離が縮まって、長く恋人のような関係だった。彩子と近く再婚するらしいと夢乃から聞いてはいたが、夢乃自身はあまり、田宮を好いていない。 「彼は、大学に進んだ方が良いって」  彩子は窺うような表情で言った。
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