てるてる坊主の降らす雨

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 急遽予定が変わったせいでいつもよりも早く下校時刻になった。お昼ごはんを食べてすぐだ。僕は手元を隠しながら、急いでおにぎりを頬張った。味わう暇もなかった。  下駄箱に無理矢理突っ込んだ長靴に履き替えて玄関を出る。雨足は弱まるどころか激しさを増していた。傘を差して外へ出ると、雨粒の衝撃が柄を伝って手のひらを刺激した。  僕のクラス、というより学年にはあるジンクスが噂されていた。  『行事のある日は雨が降る』  去年の遠足も、運動会も、今年のマラソン大会だって雨が降って中止や延期になった。天気予報なんて無視して、当日は必ず大雨が降るのだ。  雨男か雨女がいるに違いない、なんて言う人もいるけれど、それは間違いだ。
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