てるてる坊主の降らす雨

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 学校を出て少し歩くと廃工場が見えてきた。学校では危ないから近寄らないように言われている。  見るからにお化けの出そうな雰囲気の、大きなオンボロ工場。僕は立ち入り禁止の看板が括り付けられたフェンスをよじ登った。傘がさせないからずぶ濡れになるし、雨に濡れたフェンスはツルツル滑った。それでも難なく乗り越えられたのは、もう慣れっこだからだ。  あちこちに赤錆だらけの車がごろごろ転がっていた。どれもタイヤが外れていて、どう頑張っても修理は無理そうだ。大人たちの話じゃ、元は自動車の整備工場だったらしい。  工場の裏には小川が流れていた。雨で水かさが増えて茶色く濁っている。流れの勢いも申し分ない。この分なら大丈夫そうだ。僕は一人頷いた。  ふ、と後ろに気配を感じて振り返る。  隣りのクラスのミオちゃんがニコニコしながら立っていた。 「上手くいったね」  ミオちゃんが透明の雨がっぱから白い右腕を伸ばし、手のひらをこちらに向けた。僕はその手を叩く。パチンッと小気味の良い音を鳴らして水飛沫が飛んだ。
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