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僕たちは学校の行事がある毎に雨を降らした。百発百中、棒は必ず雨を降らしてくれた。
廃工場の中へ入って傘を閉じる。雨が屋根を激しく殴りつける。音がうるさいくらい響いていた。
だだっ広い空間の隅に小動物のゲージが置いてある。中にはまだ手のひらサイズの子猫が三匹、みゃあみゃあ鳴いていた。
「今日はどの子がいいかな」
僕はゲージから一匹を鷲掴みにして引っ張り出した。
雨を降らすためには一つだけ条件があった。それは生き物の生き血を棒からぶら下がるてるてる坊主に吸わせる事だった。
雨を降らし終わると、てるてる坊主の表情が悲しげに変わる。使った後は必ず生き血を吸わせてあげて、次に雨を降らす時まで力を蓄えてもらうのだった。
僕はいつもの作業台の上に泣き喚く子猫を押し付けた。
ナタで子猫の頭を切り落とし、生き血をたっぷりてるてる坊主に捧げ、死体は裏手の川に流す。生贄の調達と処理は僕の仕事だった。
「あれ……」
作業台の上に置いてあったはずのナタが無い。
「ミオちゃん、ナタどこにあるか知らな――っ!」
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