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重たい衝撃が肩口を襲った。身体が燃えるように熱い。
僕はその場に倒れ込んだ。目の前を子猫が逃げて行く。肩に手をやると、硬く冷たい物体が深く肉に突き刺さっていた。
「ごめんね」
ミオちゃんが僕の肩からナタを引き抜いた。床が赤く染まっていく。身体から熱いものがどくどく抜けていく。経験のない寒さが追っかけてくる。
「てるてる坊主さんがね、子猫じゃ満足出来なくなった、もっと大きな生き物の命と生き血が欲しい、って言うの」
床に片頬を着けて臥せった僕の視界に、濡れた長靴が映った。頭上から紐でぶら下がったてるてる坊主が降りてきて、血溜まりにポチャン、と着地した。
悲しげな表情の真っ白なてるてる坊主に僕の血が染みていく。頭の先まで赤黒く染まったてるてる坊主は、満足げににっこり笑った。
何が神様からの贈り物だ。これじゃ、悪魔じゃないか。
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