感情の道

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私達は常に心の中で、感情の道を歩いている。 この道はとても繊細で、感情によってがらりと風景が変わってしまう。 嬉しいことや、良いことがあった時。 太陽のような温かい光が道を照らす。 光に当たると心地よくて、足取りがいつもより軽くなる。 感情の道の中では、この道が一番好きだ。 ずっと、続いてくれたらいいのに……と思う。 イライラしたり、腹が立つことがあった時。 ゴロゴロと地響きが鳴り響く。 イライラが頂点に達すると、あちこちに雷が落ち、道に焼け跡が残る。 一度立ち止まって、冷静さを取り戻し、自分を落ち着かせよう。 焼け跡は後々自然と無くなるから、気にせず進めばいい。 悲しいことや、辛いことがあった時。 雨が降り出し、道に水溜まりが出来る。 足取りが重くなり、なかなか前へ進めなくなってしまう。 ずぶ濡れになる前に、雨宿りが出来る場所を探し、逃げ込む。 雨が止むまで、ゆっくり待てばいい。 無理して進むことはないさ。 雨が止むと、道の先で虹が出ていた。 遠くからでも、はっきりと見えるほど大きい。 七色のアーチが光輝いている。 あそこまで行けば、きっと楽しいことが待っているはずだ。 出来立ての水溜まりを飛び越えながら、虹に向かって走った。
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