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昔住んでいた家から今住んでいる家は山を越えてのとなり町。
もちろん、その道を私は覚えていない。
お母さんは、もしかして、と当てずっぽうでここに迎えにきてくれたようだが、私は本当に、示された道を辿ってついただけなのだ。
憂鬱だった通学路から、自ら命を絶つ為の旅路を経て、不思議な導きでここにきて、今はお母さんと一緒に家へと帰っている。
たくさんの道を歩ってきた。
きっと、人生もこうなんだろうな。
何か障害があったら、一度違う道に行っても、一度元の道に戻っても、また前に進む道を探そう。
降っていた雨は、いつの間にか止んでいた。
「今日の最高気温30℃だってよ」
「えー、あっつー」
「暑くなる前に帰りましょ」
「うん!」
当分は晴れの日が続きそうである。
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