帰路

3/4
前へ
/11ページ
次へ
「おかえり」  更地から声がした。おかしい、更地なのに。  私は恐る恐る、家のあった場所を見ると。 「……お母さん……?」  傘を差した見知った女性、お母さんがそこにいたのだ。 「どうしてここ……」  私の言葉を遮るように、お母さんは私を抱きしめた。 冷えた身体にお母さんの温もりを感じる。 「帰ろう」 「でも、あの、がっこ……」 「学校はこっちに戻す」  お母さんは、全て知ってしまった風だった。 「とりあえず、今の家に、帰ろう」  私は母の温もりに触れて、もう一度泣いた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加