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「おかえり」
更地から声がした。おかしい、更地なのに。
私は恐る恐る、家のあった場所を見ると。
「……お母さん……?」
傘を差した見知った女性、お母さんがそこにいたのだ。
「どうしてここ……」
私の言葉を遮るように、お母さんは私を抱きしめた。
冷えた身体にお母さんの温もりを感じる。
「帰ろう」
「でも、あの、がっこ……」
「学校はこっちに戻す」
お母さんは、全て知ってしまった風だった。
「とりあえず、今の家に、帰ろう」
私は母の温もりに触れて、もう一度泣いた。
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