通学路

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 事件がおきたのは、そんな憂鬱な日の体育の授業の後だった。  教室に置いてあった私のバックが丸ごとなくなっていたのだ。 かろうじて、制服だけはあったけれども、バックがなければスマホも財布もない。  誰かに助けを求めようにも、その「誰か」がいない。 先生に言えば、ホームルームで犯人探しになり、余計に私が悪目立ちする。  私はしばらく呆然と自分の机を見つめていたが、ないものはないのだ。 とりあえず、制服に着替えよう。  怖すぎて気味が悪すぎて、手を震わせながら制服のボタンをしめていると、廊下の方でクスクス笑う声が聞こえた。  そうだよね、そうだと思ってたけど、いじめの主犯であろう女子生徒が取り巻きと一緒に私のスマホをいじっていたのが横目で見えた。
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