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「あーあ、なにやっちゃってんの」
「うるせー、ブス」
「おい、ブスって言うな。アキトのくせに生意気だな」
その瞬間、チッという大きめな舌打ちが聞こえたので、音を出した主の横腹にドスッとワンパン決めた。
お隣に住む二つ年下の幼馴染アキトが、ある夏の日金髪になった。
ライオンのタテガミのように見事な金髪が目に眩しい。
「ってえな」
「ってえな、じゃない! 痛い、でしょ? あんたね、夏休み終わる前に髪の毛黒く染めるんだよ? 内申に響くから」
「いいんだよ、どうせオレなんか、頭悪い学校しか狙えないし、内申なんて気にしてない」
一学期の終り、三者面談にてアキトは『今の成績じゃ狙えるところは限られている』と厳しい評価を頂いてしまったそうだ。
「アタシと同じ高校に来るって言ってたじゃん」
「言ってねえし」
「言ってた! ミー姉と同じガッコ、行きたいって言ってた。つい最近まで!」
アタシをギロリと睨み上げたアキトが、また舌打ちしようとする前に、拳を握ってみせたら先ほどのワンパンを思い出したのか、仕方なさそうにため息をついた。
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