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あまり正直に言い過ぎて、キレられるのは勘弁願いたい。
かと言って、泣かれるのも今の疲労感からすると避けたい。
何とか穏便に……。
「いいなさいよ!!」
高速道路は金切り声と共にテーブルをバン、と叩いた。
汁だけになったカップ麺の容器に波紋が走る。
どうやら言い方を迷っている時間はなさそうだった。
「わ、わかったよ。いうよ……。だからそんなに怒らないで……」
「私だって怒りたくて怒ってるんじゃないわよ!! あなたが全然はっきりしてくれないからでしょ!!」
「いや、だってさぁ……。絶対理由言ったらますます怒るから」
「はあ? 怒られるようなことしてるの? ……まさか、バイパスと浮気してるんじゃないでしょうね!?」
「ち、違うよ」
「じゃあ、何なのよ!?」
バイパスとの浮気?
それを疑うレベルに達しているってことか?
いくらなんでも、と言いたいけれど高速道路の表情を見ていると、それも言えない。
そんな顔をさせているのが折れなんだ、と思うと胸が締め付けられた。
「実は……」
と、言いかけたところでまた玄関が勢い良く開けられた。
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