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「おーっほっほっほっ!! 無様ね、高速道路さん!!」
高笑いとともに入ってきたのは、よく知った道路だった。
「こ、国道!? 何であんたがここに来るのよ」
「あーら、彼と仲良しなのはあなただけじゃないんですのよ、高速道路さん。ね?」
ね、は俺に向けられた言葉。
その満面の笑顔に邪悪を感じるのは俺だけではないはず。
「ちょっと、どういう事? なんで国道と? だってあなた前に信号が多くて嫌いだって……」
「ええそうよ。信号が多くて、しょっちゅう足止めを食らう私を選んでしまうほど今の高速道路さんが酷いという事ですのよ」
「そんな……どうして……ハッ」
何かに気づいたように目を大きく見開く高速道路。
その表情の変化に気づいた国道は、思い切り胸をそらし、勝ち誇った笑みを浮かべた。
「どうやら自分の愚かさに気づいたようですわね、高速道路さん」
「じ……渋滞?」
絶望に震える高速道路の声。
何かにすがるように、高速道路は俺の方へと目を向けた。
その祈るような視線を受け、言葉を発することもできないまま、俺はただ一つ大きく頷いた。
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