恋路

9/9
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 階段を上がりながら踊り場で空を見上げると、綺麗な月がぽっかりと浮かんでいた。 「空か……いいなぁ」  道路のないところを自由に飛び回ってみたい。   ふと、そんなことを思った。  なぜこんな面倒なことになったのだろう。  俺の運転がもう少し荒ければ、こんな事にはならなかったのだろうか。  だが、俺だってサラリーマンだ。  通勤中、警察にとっ捕まりたくはない。  荒々しい運転なんて出来っこなかった。  そうなれば、俺に残された選択肢はただ一つ。 「よーし、明日は電車とバスだな」  そうと決まれば明日は早い。  今度こそさっさと寝よう。  俺は一つ大きく伸びをして、再び階段を上がり始めた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!