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階段を上がりながら踊り場で空を見上げると、綺麗な月がぽっかりと浮かんでいた。
「空か……いいなぁ」
道路のないところを自由に飛び回ってみたい。
ふと、そんなことを思った。
なぜこんな面倒なことになったのだろう。
俺の運転がもう少し荒ければ、こんな事にはならなかったのだろうか。
だが、俺だってサラリーマンだ。
通勤中、警察にとっ捕まりたくはない。
荒々しい運転なんて出来っこなかった。
そうなれば、俺に残された選択肢はただ一つ。
「よーし、明日は電車とバスだな」
そうと決まれば明日は早い。
今度こそさっさと寝よう。
俺は一つ大きく伸びをして、再び階段を上がり始めた。
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