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その日もまた、雨が降り続けていました。夫妻は窓の前に座り、静かに雨を見つめながら過去の思い出に浸っていました。すると、突然雨粒が夫婦の手に触れました。
「ごめんね、私、忘れ物をしたみたい」
夫がそう言って立ち上がり、庭に向かって歩きました。妻は不思議そうな表情で彼を見送りました。
しばらくして、夫は手に小さな箱を持って戻ってきました。箱を開けると、そこには逆さのてるてる坊主が収まっていましたが、今回は特別なものでした。そのてるてる坊主には、キラキラと輝く小さな宝石が縫い付けられていたのです。
「これ、見てごらん。新しいてるてる坊主だよ」
夫が興奮気味に語ると、妻の目から涙がこぼれました。彼らはお互いの手を握り、その宝石に見惚れていました。
「これは、私たちの愛の証。この宝石が雨に触れると、小さな幸せが舞い降りるんだよ」
夫の言葉に妻は感激し、宝石をそっと撫でました。そして、二人は再び窓辺に戻り、てるてる坊主を庭にぶら下げることにしました。
雨はまだ降り続いていましたが、その雨はますます美しく感じられました。夫妻は手をつなぎながら、てるてる坊主が揺れる様子を見守りました。
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