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さくらは近づき、てるてる坊主の一つを指で撫でました。すると、その瞬間、周囲の空気が変わったかのように感じました。雨粒がさくらの手に触れると、まるで願いが叶うような不思議な感覚に包まれました。
「こんなに美しいてるてる坊主たちが、ここにあるんだ……」
さくらは心の中でつぶやきました。彼女は思わず手を合わせ、小さな願い事を込めて祈りました。その願い事は、大切な人たちの幸せや、自分自身の成長についてのものでした。
雨は降り続けながらも、さくらはその場所に立ち尽くし、思いを馳せました。すると、突然、さくらの手にひと粒の雨粒が落ちてきました。彼女は驚きながらも、その雨粒に感謝の気持ちを込めて微笑みました。
「ありがとう、てるてる坊主さん。私の願い、きっと届いていると信じています」
そう言いながら、さくらはその場所から離れました。心にはほんの少しの温かな幸せが広がっていました。
それからというもの、さくらは雨の日には必ずその特別な場所を訪れるようになりました。彼女は雨粒と共に歩き、逆さのてるてる坊主に祈りを捧げました。雨の音が彼女の耳に心地よく響き、まるで自然と調和するような気持ちになりました。
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