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「やった! 揃った。俺の勝ちぃぃ!」
大介がラスト2枚の手札をバシッと勢いよく、皆の前に出した。
「ちぇっ」
隼人の悔しそうな舌打ちが聞こえる。
「最後に残った有と隼人、罰ゲームな!!」
「罰ゲーム! 罰ゲーム! 罰ゲーム!」
負けた僕と隼人以外のメンバーが手拍子とともに囃し立てた。
「仕方ねぇなぁぁ」
隼人は左手で頭をポリポリ掻き、苦笑する。僕も口をへの字に曲げ、困ったアピールを表面上はしていたが、本当は隼人との罰ゲームに胸がドキドキしぱなっしだった。
ここは小豆島の民宿の一室。
僕、日野平有は高校最後の思い出作りに仲間達と卒業旅行にきている。
とことん遊んだ僕達は観光するのも疲れてしまい、部屋でのんびりババ抜きをしていた。途中で罰ゲーム付きになり、勝負も白熱していたが、結果、僕と隼人が負けてしまう。
最後に残った2人は小豆島の観光スポット「エンジェルロード」を歩き、写真を撮ってくるという罰ゲーム。写真を撮るだけでは罰ゲームにならない。それではただの観光だ。
1日2回干潮時に砂の道が現れ、隣の島まで歩く事ができるエンジェルロード。
大切な人と手を繋いで渡ると願いか叶う。
その不思議な現象ゆえ、ロマンチックな言い伝えのある人気のスポットであり、負けた2人は手を繋いでエンジェルロードを歩くというのが、今回の罰ゲームなのだ。
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