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全て消えろ
俺はモニターで爆心地を見る。巨大なキノコ雲だ。
雲の下には、やがて黒い雨が降るだろう。
黒い雨よ降れ。そして全ての生物を死滅させろ。
俺が死ぬ。それはすなわち世界が消えるということだ。
ならば、世界を消してから俺は死にたい。
軍事大国のトップになった俺だけが可能な所業だ。
何て贅沢な生き方なんだろう。
そう思いながら、俺は次の核ミサイルのスイッチを押す。
30分が経過。
今頃は目標の国に核爆発が起こったはずだ。そしてまた、黒い雨が降るだろう。雨よ降れ。全ての生物を死滅させろ。
反撃の核が撃ち込まれるかもしれない。
その時はただ、死ぬだけだ。
世界を消す。
何て贅沢な死に方なんだろう。
完
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