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「タロウ、大丈夫? いい子にしてくれて、ありがとうね」
平気である!
吾輩が応えると、さっちゃんは
「家に帰ったら、おやつちょっとだけ増やしてあげようかな」
と独りごちた。
その為にしたことではなかったが、ついつい尻尾が動いてしまう。
それに気付いてか、さっちゃんはふふふと楽しそうに笑った。
そうして安全に、何事もなく、吾輩達は帰宅することができたのだった。
吾輩は犬である。
人の目の代わりになるよう、人を助けるよう訓練された、犬である。
名前はタロウ。
大好きなさっちゃんを、どんな時でも支えるのが吾輩の役目である。
特に外を歩く時には、絶対に危険に遭わせないように、注意を払い、対処するのである。
それが、吾輩の散歩道である。
『散歩道』──了
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