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おまけ
「……なぁ、もしかしてお前らってマジで“そういう”関係……なの?」
放課後、広喜と響司が帰り支度をしているところへ間宮が気まずそうに近寄ってきて、コソッと訊ねた。
「……何?」
広喜は響司を庇うように立つと、間宮を睨んだ。間宮は驚いたように目を見開くと、慌てて顔の前で手を振った。
「違う違う違う!怒んなって!!」
「…………」
「ちーがーうーかーらっ!睨むなよ」
「……で?それ訊いてどうすんの?」
間宮の必死な様子に広喜は少し警戒を解いた。それを見た間宮は安心したように息を吐いた。
「いや……昨日、矢内が外城田を追い掛けてった後にバッタリ御堂に会ってさぁ」
「御堂に?」
「うん。で、何やってんのって言うから矢内とあの子の事話したら、めっちゃ怒られて」
「何て?」
「『本当にちゃんと矢内の意志を確認したのか?合コンだってハッキリ伝えたか?!無理矢理連れて来たんじゃないだろうな??』って……」
「あぁ~……」
御堂の怒った顔が目に浮かんで、広喜は苦笑いした。
「『アイツはめちゃくちゃ大事に想ってる相手がいるんだ。誤解されてこじれたりしたら責任取れんのか?!』ってさぁ~。大激怒」
その時の恐怖が甦ったのか、間宮は青白い顔で深いため息を吐いた。
「……でさ、帰ってから考えたんだけど、矢内が一番大事にしてんのって、どう考えても外城田じゃん!って思って……だから……その」
気まずそうにゴニョゴニョ喋る間宮に、広喜はわざと意地の悪い笑顔を向けた。
「……で?……もし、そうだって言ったら?お詫びに飯でもおごってくれんの?」
珍しく怒ったそぶりを見せた広喜に、間宮の顔がますます青ざめていった。
「ごめん~~!」
俺サイテーじゃん、と間宮は両手で顔を覆って天を仰いだ。
「も~ホントごめん~~!!だから彼女出来ないんだよ、俺~」
あ~、と唸りながらうなだれる間宮を見て、広喜は思わず声を上げて笑った。
「気にすんな。悪気が無かったのは分かってるから」
ただし、と広喜は声を低くした。
「マジで!合コンとか、もう二度と誘うなよ?」
「それは!うん!もちろん……!」
普通に遊びに誘ってくれんなら嬉しい、と広喜は間宮の背中を叩いた。
「外城田もごめんな~~」
両手を顔の前で合わせる間宮に、響司は大丈夫だよと首を振った。
「ふふふっ」
校門を出た辺りで、響司が突然嬉しそうに声を上げて笑った。
「どした?」
広喜が顔を覗き込むと、響司が頬をほんのり染めながらフワリと笑った。
「ヒロが一番大事にしてるのは僕、だって!」
間宮君にもそんな風に見えてるんだなって思って、と言って響司は体を弾ませた。
「当たり前だろ?」
響司のフワフワの髪の毛を広喜がクシャリと撫でると、響司は「嬉しい」と噛み締めるように小さく呟いた。
「……ヤバい」
「え?」
「めちゃくちゃキスしたい」
「?!」
広喜の言葉に目を丸くした響司の顔が見る見る赤く染まっていった。
「急ご!」
少し汗ばんだ響司の手を取って、広喜は駅へと走り出した。
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