1人が本棚に入れています
本棚に追加
壱
あの日を、今でも思い出す
今はもう居ない、田舎にあるひいおばあちゃんの家で
小学生の夏休みを過ごしていた。
あの日、
私は森の中を歩いていた。
…蝶でも見つけたのだろう
私は、逃げていく白い布切れのようなものを必死に追いかけていた。
ひらひら、ひらひら、と逃げていく布切れ
それを追う私
走れば走るほど布切れも早く逃げていく
急に、布切れが止まった。
追いついた。
そう思った時、
私は草原に居た。
そして、あの雨が降った。
あの雨の時に見た風景がとても綺麗だったのに
靄がかかったように
今では何も思い出せない。
あの雨は狐の嫁入りと言うんだよ。
どうやって帰ったのかは分からないが
帰ってきた後、ひいおばあちゃんに教えてもらった。
そう言えばあのときに、鈴のついたお守りをなくした気がする
少し、気に入ってたんだけどな
今はもう社会人の私が、なぜこんな話を思い出したのかわからない。
ただ、一つ言えることがあったなら
今日は狐の嫁入りだった。
最初のコメントを投稿しよう!