2人が本棚に入れています
本棚に追加
恐怖の秘密基地
要塞は子供の頃に憧れた者なら一度くらいは作った経験があるのではないだろうか。私も小さい頃に数名の友人達と夏休みを利用して要塞を作ったものである。然し、齢僅か十一の時だったろうか。不可思議な事件が起きたのだ。私はあの日の事を今も夢に見ては魘され汗を滝のように流して目が覚める。忘れもしない、八月一日に起きた出来事、私はあの日の事を「夏休みの怪談」と呼んでいる。あれから二十年以上は過ぎたが、未だ精神科に通っているのは私だけ、だ……。今日は蝉がやけに騒がしい、あの日もちょうど同じぐらいの鳴き声が聞こえていた。嗚呼そう言えば、今日は八月一日だったな。
*****
隆と昌平、弦紀と浩哉と私を含めた五人は近所でも特に仲の良い五人組だった。卓也と私は呼ばれていて夏休みは毎日のように彼らと遊んで大笑いし走り回り汗をかいて全力でその時を楽しんでいた。ある日、五人組の中で特に体格の良い弦紀が言った。
「なあ、夏休みの思い出に秘密基地作ろうぜ。俺達の要塞だ。面白そうだろ?」
最初のコメントを投稿しよう!