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それから私は十年ほど深い眠りについていたという。当時私は十一才、他の友人達も同じ状態になってしまったらしいが私と違うのはショック死を遂げてしまった事だ。痩せ細った私が目を覚ました時、世界は変わっていた。成人を過ぎた私の体は成長はしていたものの、頭は追い付いていない上筋力の衰えが激しく歩く事はできなかった。長い年月を掛けてリハビリを繰り返すも私の耳や頭にあの日のウサギが現れて悲劇を何度も見せては繰り返す。その度に発狂し、気絶する症状が起こった。一日に何度も起こるため精神的にも疲労し昔の面影は消えていた。さらに年月が過ぎた今も、私はウサギの幻影に怯え続け精神科に通っている。強い睡眠薬を服用してもなお悪夢を見ては魘される。三十を過ぎても自立する事が難しいと判断されており、私は両親と暮らしている。夜中に泣き叫び起きる事もあり、母親が飛んできて抱き締めて撫でてくれる、情けないと思っているが私には今、一人で生きていけるほどの力も精神力も持ち合わせてはいない。あの日、私の人生は全てが狂ったのである。謎のウサギによって壊された。あれが何だったのか未だに分からない。ウサギに直接聞いてみても答えない、ああ、今日もまた来たのか。彼らの頭を持ってあいつは今日も私の前に現れる。
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