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夏休みが半分を過ぎた頃、要塞には小さなカーペットとテーブル、お小遣いで買って集めたお菓子やジュースにベンチ、そしてブランコがあり思い思いに過ごしていた。この日、私は家の手伝いがあり昼過ぎにみんなのところへ向かったのだが……。そこには黒ずんだウサギの着ぐるみがいた。木の下にあり妙な膨らみがあるため人が入ってるのかと気持ち悪かった。話しかけようにも気味が悪く、私は無視して上に登り宿題を始めた。チラチラと気になって何度か視線を投げていたが動く気配はない。他の友人が来たら一緒に捨てに行こう、と思っていたが、この日友人達は帰る時間になっても誰も来なかった。カバンに宿題を入れて木から下りる、夕焼け小焼けの音楽が遠くで鳴っていてこの場所だけまるで別世界のようにも思えた。このウサギはどこから来たんだろうか、疑問に思えたが遅くなると親に叱られるので私はその場を後にした。明日、友人達に話そうと決めて。
*****
翌日、私は朝から要塞へ向かった。昨日会っていないだけで長い時間彼らと会えていない気がする。そう思いながら到着して私は悲鳴をあげそうになった。
ウサギが木の上にいるではないか。自分で上がったのか、人が入っているのか、私は木の下から叫んだ。
「おい! ここは僕達の秘密基地だぞ。勝手に入ってくるな、どっか行け!」
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