恐怖の秘密基地

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 突然鳴り響く電話に心臓が爆発しそうなぐらいに驚く。冷や汗が出る、喉が異常に渇く、この電話に出ては行けない……。 「卓也ー、手離せないから電話出てー」  私は頷いて電話の前に行き、受話器を取ってからすぐに切った。然し切った直後に再び電話が鳴る、画面には電話番号なんて表示されていない。父なら出るんだ、電話番号が……。私は怖くてたまらず電話を切る行為を繰り返した、何度切っても掛かってくる。五回目、流石に母親が怪しむと思い私は電話に出た。 「も、もしもし?」 「……あそぼ。あそぼ。たくや、あそぼ」 「うわあああ‼︎ あ、遊ばない‼︎」  ガチャン‼︎  気味の悪い声だった、名前を呼ばれた、まるで機械を通した様な、テレビでよくある声を変えるやつ、男の声のやつだった。私は半泣きでリビングへ駆け込み母親に抱き着いていた。料理の邪魔だと怒られたが私はそれどころではなかった、ただくっ付いて震えが収まるのを待った。母親も呆れてはいたが料理を中断して私を抱き締めてくれた。 「どうしたの? 怖いことでもあった?」  私は怒られる事なんてどうでも良くて秘密基地を入っては行けないあの場所に作った事や、変なウサギの事、友人達との時間がズレた事やさっきの電話の事をマシンガンの如く話した。思い出して恐ろしく涙を流した、それでも話さずにはいられなかった。
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