序曲Ouverture

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「そんならパソコンゲームとかもできる?」  そう言ったのは自画自賛だった。 「え……出来るよ。たまにすることもあるし……上手いかは分からないけど」 「みどりさん、ほとんど何もすることないからパソコンでゲームしとる時間が多いんやけど、如何せん俺はそういうんやっとる時間もないし、一人で時間潰してるだけやねん。良かったら相手してやってや。人付き合いも覚えなあかん」  どっちが主人だ。  まるで子供を心配するような自画自賛は、おそらく赤月みどりのことを大事にしているのだろう。 「話すきっかけとしてはありだな。いきなり情報をくれって言っても応じてくれるか分からないし、とりあえず距離を縮める方法として相手の好むことを共有するのは良いプロセスだと思う。棗、その時は頼っていいか?」 「もちろん。銀色に出来ないことがあるなら手伝うよ」  うーん。これ、僕の立場が危ういのでは?  まあ、何も出来ないなりに皆のメンタルケアとか情報の整理とか、そういう縁下ポジションで頑張るか……。  なんて、自分の利用価値というものを模索しつつ、僕はこの先のことをぼんやりと思うのだった。
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