とある兄と妹の話

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25日目の夜、警察が巡回をし始めた。 その頃には、襲っているのは、 大型犬のような動物という事が、多数の目撃で判明していた。 ただ、寝ているであろう昼間は、その存在を、誰も見つけられなかった。 俺は、それらの行動が、無意味な事だと、思っていた。 警察が、巡回したところで、何になるのだ? マイは、不死身なのだから、鉄砲で撃とうが、死ぬ事はない。 電気ショックを与えても効かないだろう。 一升瓶を、頭の上から振り落とされて、痛みも感じなかったのだから。 近づけば、逆に、喰われて、終わり。 結局、警察や普通の人間では、どうする事も出来ないのだ。 もう、俺が、妹のマイを殺すしかないではないか。 短剣を放棄し、俺が、自分の身体の血を、全部、マイに捧げたとして、 もう人間に戻れる量ではない。 俺は、狩られる者から、狩る者になるしかなかった。
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