とある兄と妹の話

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雨よ、もっと降ってくれ。俺は、そう願う。 そうすれば、俺の気配は消える。視界も見えにくくなる。 妹のマイに気づかれる事はない。 妹は、もう、完全に、人喰い狼になってしまった。 だから、俺の手で殺さなければ、いけないのだ。 事の発端は、30日前の事だった。 俺と妹は、ほぼ毎日、母親と一緒に、父親から、暴力を受けていた。 父親は、酒が大好きで、毎日、仕事から帰ると、浴びるように飲んだ。 そして、酒癖が悪かった。 酔うと、日頃の鬱憤が溜まっているのか、 母親を殴り、俺達を殴る。 皿やコップを投げつけられる事や、物で叩かれる事も日常茶飯事だった。 外では、父親は、公務員で、物静かでおとなしい性格のように見える。 母親から聞くと、仕事も出来る方だった、と言っていた。
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