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第0章 序章。
西暦1189年07月24日。
長門国赤間関壇ノ浦の古戦場に1人の女性が小船に乗りながら太陽に照らされキラキラしている海の水面を見つめていました。
「ようやくまた来られる事が出来ました。貴方様がここに還った時、私も一緒に還りたかったのですが…父の欲望で生かされてしまいました。」
この日は奇しくもその女性にとってこの海に還った大切な人の月命日でした
船頭・時丸「壇ノ浦の戦いではおいらの仲間もたくさん命を落としてしまっただ。想い出すと今でも瞼の裏が熱くなってしまう…」
船頭である時丸と共に大切な人達を
偲んでいたその女性の名前は…
平則子…平清盛の義弟である時忠の娘で時忠の為に一族の仇である義経に嫁がされた悲劇の女性。
則子にとって誰より恋い焦がれていた男性の名前は清盛から総帥の座を継いだ平宗盛…
宗盛「俺の事を…」
ではなく…同母弟である平知盛です。
知盛「俺は正室を裏切る事など出来ないので君の想いには応えられない…」
則子の2歳年上であった知盛は、
理想的な男性でしたが…それは、
則子の切ない片恋でございました。
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