二人の魔法

1/1
37人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

二人の魔法

 広場には、大勢の人があふれんばかりに詰めかけていた。 「ねぇルルリカ、雨の魔法ここで見せて」 「えっ、でも皆濡れちゃうよ」 「いいから」  私は杖を出す。  ありったけの魔力を込める。 「雨よ降れ(ラス・スウェーグネン)!!」  放った青白い光が――広場上空から雨を降らせる。 「うそ、ホントに成功した……」  そして、雨粒が皆の頭に届く直前。  オルガが杖を大きく一振りした。 「水の竜(ヴァッサー・ドラッヘ)!」  雨が集まり、竜へと姿を変え、空中を舞う。  次の瞬間、弾けるように竜は散り、その霧に光が当たり――巨大な虹が出現した。  わぁ! と歓声があがる。  私は思わず、オルガに抱きついた。 「オルガ、これからもずっと友達でいてね!」 「もちろん、ルルリカ」   「勇者一行に栄光あれ!」  王様の声が響く。  万雷(ばんらい)の拍手に包まれ、私達は顔を見合わせて、笑った。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!