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「きっと空回りしているのよ。
肩の力を抜いたらどうかしら。追いつくことだけが全てではないでしょう」
「どういうことですか」
先生のつり目は、怖い印象を与える。でも今、その奥の光は優しかった。
「共に戦わなければ絶対にオルガの役に立てない、ということはないもの。あなたがこの街で元気でいて、オルガが帰ってきた時に笑顔で出迎えれば、彼女も喜ぶと思うわ。
勇者たちは人々の平和を守るためにこそ戦っているのだから」
「……」
「それじゃ、ダメなんです!」と言いたかったけど、先生の心配が伝わってきた。
私は「わかりました」と言って部屋を出た。
リエルに、お母さん、お父さん、そして先生。
周りの人にまで心配かけて、私、何やってるんだろ。
その日は、練習をしないで友達と帰った。「早かったわね」とお母さんが驚くのに笑顔を見せて、さっさとごはんを食べてお風呂も入って、ベッドにもぐりこんで。
それから、少し泣いた。
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