挑戦

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挑戦

 頑張って、あの子に追いつかなくちゃ。  校庭の真ん中、私は集中する。友達と先生の注目を感じる。誰かの(のど)がごくり、と鳴った。  すぅ、と息を吸い込み、目を開く。  イメージは完璧。体を流れる魔力も感じる。  いける!   「水の精霊よ――我が杖へ。  力を貸し(たま)え」  杖が青白い光をまとい、水の精霊の力が宿る。 「雨よ降れ(ラス・スウェーグネン)!!」  詠唱とともに、私は杖を振り下ろした。  それから数時間後。私は家のドアを開けた。 「おかえりルル!」 「おかえり、姉さん!」  お母さんと弟のリエルがドタバタしながら集まってきた。二人とも期待に満ちた顔で、「試験、どうだった?」と口々に聞いてくる。  言いづらいなぁ。   私は頭をかきながら報告した。 「あー、実は、またダメだったんだよね……」    今日の再試験、私が放った青白い光は、雨を降らせることなく空中で消失した。 「ルルリカ=グレンフィルド、雨の魔法、再試験不合格」  先生の無情な声が、頭に残っている。
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