二 伝説の姫

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 翌朝、朝一に采鈴の部屋を尋ねてくるものがいた。  景春である。開口一番に「すまなかった」と詫びの言葉を入れて采鈴を抱きしめた。 「やっと来てくれたのですね。待っておりました」 「決してそなたのことを放っておいた訳ではないのだ。怖い思いをさせてしまったようだ。武蔵丸から全て聞いておる。警備を厳重にしたゆえ安心してほしい」  景春は慣れたように采鈴の顎をつまみ、口付けをした。  部屋の隅で成り行きを見ていた桐が気まずそうに目線を下に落とした。  景春は少し目を潤ませている采鈴を再び抱きしめる。  景春が纏う優しいお香の香りに包まれた采鈴はゆっくりと腕を回した。また苦しい思いをするとしても、今はただ景春の優しさに浸っていたいと思ったのだった。  景春の唇が采鈴の耳に触れた。 「そなたを連れていきたいところがある。一緒に来てくれ」  景春は気の抜けた采鈴を部屋の外へと連れ出した。
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