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三 秘めたる力
遠く離れた小さな的に吸い込まれるように矢が刺さる。一本だけではなく何本も快音を立てて的を射抜いていた。
采鈴と桐は景春が弓の練習をしている姿を射場後方の縁側で眺めていた。
景春は弓の名手とだけあって、他の者に比べてかなりの数の矢を的に当てていた。
「さすが若君ですね」
桐はのんびりとした口調で言った。気持ちの良い晴天に恵まれ、心地よい風まで吹いてくるのだ。誰だって緊張感などなくしてしまう。
しかし、采鈴は食い入るように景春の弓を引く姿を見ていた。
城の最上階での一件以来、景春は采鈴を片時も離そうとしなかった。常に自分のそばにいることを望み、女人はほとんど来ることがない射場にまで采鈴たちを連れてくるほどであった。
快音が立て続けに鳴り響いた。景春の隣の的からである。
景春の奥に弓を構える者の姿があった。はだけた着物からは肩甲骨周りの美しく盛り上がった筋肉が見え、弓から矢が離れると一気に伸びる。誰もが目を惹く華麗な立ち姿であった。
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