【Épilogue 茶話会の昼下がり】

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「ガラスのペン! 素敵ね! わたくしも一緒に行っていいかしら」 「遠くまでシャルロットを連れ出すわけにはいかないので私とアンブロワーズだけで行きます」 「えー」 「在庫があれば王女様の分もお土産に買って来ますよ。ね、リオン」 「うん。怪しいオークションではなく港の市場なので、貴女に渡して危険な物ではないでしょう。たぶん」 「やったー! かわいいのがいいわ。お願いね」  灰かぶりが了承する。王女はうきうきといった様子でマカロンをもう一つ手に取った。  村の教会の鐘の音が聞こえて来た。  何度時計の針が回ろうとも、靴はなくならないし王女にもすぐ会える。灰かぶりはガラスの靴にそっと指を這わせて、静かに笑みを浮かべた。  硝子庭園では、今日も穏やかな時間が流れている。  時計の針が回り、鐘が鳴る。 「やあ、もう十二時だ。魔法が解けてしまうから、今日のお話はもう終わり」  ページを捲っていた手を止めて、栞を挟む。随分と使い込まれているのか、栞に付いている青いリボンは色がくすみ、ほつれている部分がある。 「続きが気になるのなら、またおいで。彼の話ならいくらでも聞かせてあげますよ」  そう言って、魔法使いは本を閉じた。 「それじゃあ、またね。良い夢を」
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