Verre-2 この靴にぴったりな人

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 その時と同じように、リオンはシャルロットに手を伸ばす。すると、揺れ動く馬車の中で躊躇いもなくシャルロットが席を立って飛び付いてきた。フリルの塊を受け止め、優しく抱き締める。  わぁわぁという泣き声は馬車の外にも漏れているらしく、御者の男性がどうしたのかと声をかけて来た。使用人の女性は問題ないことを伝え、そのまま王宮へ向かって走り続けるように言う。 「リオン……。リオン……! 会いたかった……!」 「はい。私もです、シャルロット殿下」  金色のふわふわと銀色のぼさぼさが触れ合う。シャルロットはリオンの腕の中でしばらくの間泣き続けた。
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