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「シャルロット、もう大丈夫。怪我はない?」
白馬から降ろされたシャルロットはぼろぼろと涙を零す。
「あ、ありがとうリオン。貴方が来てくれて助かったわ」
「君も怖かっただろう。王女様を落とさずに走って偉いね」
リオンは白馬の首元を撫でてやる。その様子をシトルイユがじとっとした目で見ているが、愛馬からの視線に主は気が付いていない。振り向いたリオンに「シトルイユもお疲れ様」と労われると、シトルイユは尻尾を大きく振った。
愛馬に目を向けていたリオンは死角からぶつかって来た物に思わず声を上げる。正体が抱き付いて来たシャルロットだと分かると、今度は狼狽えて言葉にならない情けない音を口から出した。
「シャ、シャル――」
「リオン、ありがとう」
やり場に困って、リオンの手は虚空を彷徨う。そして少し迷ってから、躊躇いがちにシャルロットの頭を撫でた。
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